診療のご案内健康診断

健康診断を上手く活用するためのメリット

  • メリット特定の病気の診断ではなく、できる限り見落としなく「病気の可能性があるのか」を判断できます。
  • メリット個別の「健康時基礎データの蓄積」をしておくと、病気の時に「診断への近道が用意」できます。
  • デメリット検査には必ず偽陽性(本来は問題がないのに異常と診断される)が生じます。
  • デメリット急性疾患や進行の早い腫瘍などの病気は、健康診断では見つけることは困難です。
「中高齢以上」、「気になる症状がある」
場合には、健康診断は病気の発見のため

「中高齢以上(当院では8歳以上が目安)」、「気になる症状がある」、では潜在的な病気の可能性あり、健康診断のデメリットである偽陽性の可能性が低くなるため、検査値で異常が見つかった場合には、追加検査を行うことをお勧めしています。

気になる症状:食欲・活動性・体重の減少、飲水量・尿量の増加など

若い動物では、健康診断は
個別の基準値を知るために活用する

若い動物ではそもそも病気が隠れている可能性が低いため、健康診断の検査で異常があったとしても偽陽性の可能性が高くなります。例えば血液検査であれば、病気でない動物でも5%は基準値には入らないため、「病気かもしれない」と判断されます。病気の有無を確認するためは、健康な動物では無意味な他の検査を行う必要があり、かえって動物や飼い主様の負担を増やしてしまう可能性があります。そのため、若い動物では健康診断の目的は病気を見つけるためではなく、自身の基準値を知るために行った方がよいと思います。特に犬では品種によって個体差が大きく、一般的な基準値が当てにならないことも考えられます。そのため、健康な状態で検査値を知っておくことは、将来、病気になった際にその数値が異常なのかどうかの判断材料になります。

血液検査

8歳以上、あるいは気になる症状があれば健康診断の血液検査をお勧めします。7歳以下の動物でもその子なりの数値を知っておくと、病気になった時に役立ちます。

検査項目肝臓・腎臓・膵臓・蛋白系・消化器系・ホルモン系・神経系などの機能

結果報告獣医師からのコメント付きで、10~14日後にご自宅へ郵送致します

血液検査では分からない病気を見つける検査

尿検査

腎疾患(腎臓の病気)、膀胱炎、糖尿病やホルモン疾患など、尿から様々な情報が得られます。特に、高齢動物で多い腎疾患の早期発見につながります。

検査方法きれいな容器に3mL以上入れて、その日のうちにお持ちください

レントゲン・エコー検査

麻酔の必要もなく、痛い思いをせずに、外から見えないおなかの中の情報が得られます。胃の中が空っぽの状態(前夜からの絶食)であれば、より多くの情報が得られます。

所要時間20分程度

ドッグドック【要予約】

複数の検査(視診・触診・聴診・便検査・尿検査・血液検査・レントゲン・エコー)を組み合わせることで、検診の精度が上がります。

所要時間1~2時間程

CT検査

CT検査は、麻酔下でX線を使って身体の断面を撮影する検査です。 他の検査では分かりにくい胸部や腹部の病変を探し出すのに優れており、診断や手術の大きな手助けとなります。

日帰り検査が可能です。

CT検査のご案内はこちら

事例紹介:健康診断(血液検査)の活用例

13歳 元気いっぱいだが、水を飲む量が増えたのが気になる

健康診断(血液検査)で腎臓を評価する項目の数値が高いため、尿検査・レントゲン検査・エコー検査を追加したが、腎臓以外に異常は見つからなかった。飲水量の増加が、3か月以上みられたため「慢性腎臓病」と診断した。内科治療を継続して1年経過したが、体調は良好である。

10歳 元気いっぱいで心配なことはない

健康診断(血液検査)で肝臓の酵素が高いためエコー検査を追加したところ肝臓に大きな腫瘤があることが判明した。CT 検査による発生部位、腫瘍の種類の推測を行ったうえで、手術を行った。病理組織検査の結果、「肝臓腫瘍」であった。現在、4年経過したが、体調良好である。

9歳 元気いっぱいで食欲もある

健康診断(血液検査)で蛋白が低いためエコー検査・追加の血液検査を実施し、腸の病気の可能性が高いことが明らかになった。腸生検を行ったところ、「リンパ管拡張症」と診断された。よって、腸に刺激が少なく、脂質を抑えた食餌を用いて管理することにより、内服薬は使用せずに低たんぱく血症は良化しコントロール中。一般的には、リンパ管拡張症は食餌療法や内服薬を用いても、予後がよくないこともあるため、早期に治療に入れたことは幸運であったと思われる。

いずれの病気も 元気がない、食欲がないといった飼い主様が分かりやすい症状もなく、健康診断(血液検査)をきっかけに病気が見つかりました。高齢動物では飼い主様の気づかない潜在的な病気の可能性もあるため、健康診断をうまく活用することで、動物の健康寿命を延ばしてあげましょう。