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犬・ワクチン種類の選択

●犬・ワクチン種類の選択をどうするか?

当院では、図1で示すように5種混合ワクチン『ノビバック DHPPi』と7種混合ワクチン『ノビバック DHPPi+L』の接種が可能です。では、どちらのワクチンを選択すればよいでしょうか?

図1. ノビバックDHPPi(5種)・ノビバック DHPPi+L(7種)で予防できる病気
図1. ノビバックDHPPi(5種)・ノビバック DHPPi+L(7種)で予防できる病気

レプトスピラ病予防の必要性により5種か7種かを選択しますレプトスピラは人獣共通伝染病の細菌(スピロヘータ―)で、人や犬以外にも多くの哺乳類に感染します。ドブネズミなどが保菌し、その尿中に排泄されることで、保菌動物の尿で汚染された土壌から口、皮膚を介して人や犬に感染します。このレプトスピラの種類は多く、250型以上の血清型が知られています1)

人では年間20~30例前後の発生件数が国内で報告されていますが、年々減少傾向です2)。感染機会は主に汚染された河川での遊泳、レジャー活動、農作業、土木作業などであり、犬が感染源になることは稀です3)。国内での発生の多数は沖縄で報告されていますが、神奈川県での発生は少ないようです1,3)。感染しても多くは感冒様(風邪の様な)症状のみで軽快する軽症型ですが、黄疸、腎機能障害、出血傾向などの重症型の症状を示すこともあります。

犬でもレプトスピラの発生状況は地域により異なります。犬のレプトスピラ病と診断した場合、7つの血清型に関しては家畜伝染病予防法の届出伝染病に指定されており、農水省はこの届出を基に毎月発生数を発表しています(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/kansi_densen/kansi_densen.html)。過去5年のデータについて当院でまとめたのが図2です。

図を見ると、レプトスピラは西日本を中心に、関東でも少数ながら発生しています。一方、甲信越・東北地方ではほとんど発生していません。神奈川県では過去5年間で2例の届出報告があります。もちろん、診断がつかずに死亡しているケースも予想されますし、届出義務がある血清型以外のレプトスピラ病は含まれませんので、実際の発生数はもっと多いかもしれません。しかし、動物病院数が県内だけで約1000施設あることを考えると、神奈川県ではごく稀な病気と言えます。犬に感染した場合も多くは無症状ですが4)、重症化すると黄疸、出血、腎障害など多様な症状を示しますが、この場合死亡率は高く国内では53.2%と報告されています5)。犬で重症化する可能性があるレプトスピラは「イクテオヘモラジー」、「カニコーラ」、「コペンハーゲニー」、「ヘブドマディス」、「オータムナリス」の5つの血清型です。

図2. 国内における犬レプトスピラの発生状況(あすなろ動物病院2015年作成)
図2. 国内におけるレプトスピラの発生状況(あすなろ動物病院2015年作成)
↑クリックすると拡大(【HP原稿】犬・ワクチン種類の選択/図2)

レプトスピラを予防するのであれば、どの血清型に対して効果を期待するのか飼主の方は把握しておく必要があります。先に述べたようにレプトスピラには多くの種類(血清型)が存在しますので、流行している(感染を予防したい)血清型とワクチンの血清型が一致していなければワクチンの効果は期待できません。犬では地域によりどの血清型が流行しているかの情報は多くありませんが、過去の神奈川県行政の調査では感染例はいずれも「カニコーラ」でした6)。また、製薬企業調査ではありますが「カニコーラ」以外にも「イクテオヘモラジー」の陽性例が見られたそうです(京都微研:キャナイン-レプト5パンフレットより)。『ノビバック DHPPi+L』で防御できる血清型はこの上記の2種類ですので、この地域内であれば予防できる可能性はきわめて高いでしょう。一方、遠方への旅行で川遊びなどする機会があるのならば、『ノビバック DHPPi+L』ではレプトスピラを予防できない可能性が出てきます。そのような場合は、他のレプトスピラの血清型を含んだ単独のワクチンもありますので、獣医師にご相談ください。

この地域では発生数が少ない事や、ワクチンには少なからず副作用に遭遇する可能性もある事を合わせて考えると、当院ではこの地域においてレプトスピラ病に対するワクチン接種の必要性は高くないと考えています。ただし、旅行などで流行地域へ移動される場合には必要性が高まりますので、飼主の方の生活スタイルに合わせた選択をしてください。

【引用】
1) 小泉信夫. レプトスピラ症の最新の知見. モダンメディア2006.
2) 齊藤剛仁. <速報>沖縄県八重山地域で発生したレプトスピラ症 2014年8月. IASR 2014.
3) 厚生労働省/国立感染症研究所. レプトスピラ症(2003年11月5日~2005年4月7日現在). IDWR 2005.
4) 片岡靖. 人畜共通感染症(ズーノーシス)―犬猫における細菌性ズーノーシス-. 日本臨床微生物学雑誌2014.
5) Koizumi N: Molecular and serological investigation of Leptospira and leptospirosis in dogs in Japan. J Med Microbiol 2013.
6) 石岡慎也. 神奈川県動物保護センター管内における飼育動物を対象とした動物由来感染症疫学調査. 平成 23 年度日本獣医公衆衛生学会(関東・東京) 2011.

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